シベリウス交響曲第4番第3楽章

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交響曲第4番は,通常演奏されている稿のほかに「初稿」も目にすることができるが,第3楽章については初稿も最終稿も「同じ曲」と言ってよい。(→シベリウス交響曲第4番の初稿
ただ一カ所,曲想が大きく変更された部分がある。82小節目から始まる感動的な基本主題の合奏の部分である。

4-3_b.png (クリックで拡大できます)


初稿では,弦(ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ)のユニゾンを支える金管やコントラバスにスラーが多いが,最終稿ではスラーのほとんどが削られ,代わりにアクセント記号が多い。コントラバスには「f」「ff」「fff」が多く追加されている。
また最後の2小節だけに加わっていたティンパニが,最終稿では4小節にわたって活躍している。裏拍から入るのが目立ち,細かい強弱記号が書き込まれている。
譜例では省略したが,木管群と金管群の強弱記号は,初稿の「f」が「ff」に,「ff」が「fff」に改められている。
響きを横に広げながら流麗に盛り上がる初稿の曲想が,最終稿ではゴツゴツとした筋肉質に変わったといえようか。
ちなみに,この部分のティンパニが雄弁な演奏は,ベルグルンド(ボーンマス響),セーゲルスタム(ヘルシンキ・フィル),インキネン(日フィル)などで,逆にティンパニが遠慮がちなのはカラヤン(ベルリン・フィル)である。

第3楽章の初稿は,まだ聴く機会がない。まだ録音もないようである。

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このページは、彭祖老師が2020年4月29日 14:20に書いたブログ記事です。

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