司馬光の文集

司馬光の詩文集には,大きく分けて「文集」と「伝家集」の二系統がある。

A. 文集(司馬光自身の手稿をもとに刊行されたテキスト)
A-1. 紹興刊文集八十巻
司馬光(1019-1086)自身がまとめた「手稿」をもとに紹興二年(1132年)に刊行された。
紹興刊『温國文正公文集』八十巻
A-2. 淳煕刊文集八十巻
司馬伋(光の曾孫)が淳煕九年(1182年)に「紹興本」を再刊したもの。
中国国家図書館に収蔵されているが,九巻を欠き,弘治十八年(1505年)の抄本で補っている。
淳煕刊『温國文正公文集』八十巻
→「四部叢刊」所収

B. 傳家集(司馬家に伝わっていたテキストを刊行したもの)
B-1. 淳煕刊傳家集八十巻
司馬伋がA-1と同時に(1182)自家に伝わるテキストを『司馬太師温國文正公傳家集』と称して刊行した。
B-2. 嘉定刊傳家集八十巻
嘉定十六年(1223)にB-1を再刊したもの。
B-3. 百巻本「傳家集」
「八十巻本」(B-1,B-2)が再編されたもので,内容は同じ。
「百巻本」は明清期に多くの版本が刊行された。そのつど「序」や「年譜」,墓誌銘など様々な資料が附加された。

C. 八十二巻本「文集」
『司馬温國文集』八十二巻として広く流通している。
明末の天啓七年(1627年),呉時亮が『傳家集』に遺文を加えて刊行したもの。
編次に手が加えられ,「文集」「傳家集」のいずれとも一致しない。

D. 百十六巻本「文集」
宋代の目録に「全集百十六巻」の書名が見える。
『増廣司馬温公全集』と称し,日本の内閣文庫に九十五巻が残存する。
1993年,汲古書院から景印出版された。

この記事について

鄭結統先生が2011年6月 6日 11:15に書きました。

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