「五経正義」の編纂

唐代,「五経」の定本と詳細な注釈が完成した。

唐の太宗の命により顏師古が定本を作り,孔穎達らが「正義」を編集した。貞観十二年(638)に完成。
漢魏六朝期の注釈のうち優れたものを選び,経文と注釈を敷衍した。
テキストの確定と,解釈の確定を目的とした。(科挙制度に対応するため。)

個々の「正義」を,「周易正義」「尚書正義」などと称す。
・周易:(魏)王弼注,(晋)韓康伯注(王弼が注を付けなかった部分を韓康伯の注で補った)
・尚書:(漢)孔安国伝〈ただし孔安国伝は偽書〉(劉焯『五経述義』,劉炫『尚書述義』も参考にした)
・毛詩:(漢)毛公伝,(後漢)鄭玄箋(劉焯『毛詩義疏』,劉炫『毛詩述義』も参考にした)
・禮記:(後漢)鄭玄注(皇侃『禮記義疏』,熊安生『禮記義疏』も参考にした)
・春秋左氏傳:(晋)杜預集解(劉炫『左傳述義』,沈文阿『左傳略義』も参考にした)

上記の,奉勅撰の「五経正義」のほか,『周禮』『儀禮』『春秋公羊傳』『春秋穀梁傳』の四経については,私撰の注釈があり,これも尊重された。(これら四部を含めて「九経」とも呼ぶ。)
・周禮:(後漢)鄭玄注,(唐)賈公彦疏(陳䧂『周官禮異同評』,沈重『周官禮義疏』も参考にした)
・儀禮:(後漢)鄭玄注,(唐)賈公彦疏(黄慶と李孟悊の説も参考にした)
・公羊傳:(後漢)何休解詁,(唐)徐彦疏
・穀梁傳:(晋)范寧集解,(唐)楊士勛疏

この記事について

韓康片先生が2008年10月14日 14:40に書きました。

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