『切韻』

詩の押韻の規範書。これを増補した『広韻』が作られたため,『切韻』は失われた。

陸法言の撰。五巻。
六朝期には多数の韻書が編纂されたが(『隋書』〈経籍志〉など参照),『切韻』が現れて以後,これが尊重され,他の韻書はすたれた。
『切韻』は先行する六朝期の韻書を比較検討して集大成したもので,仁寿元年(601)に完成した(自序による)。12,158字を収める(『封氏見聞記』巻二による)。
『切韻』は作詩における韻律の規範となった。宋代に『切韻』を増補した『広韻』(1008年)が作られたため,『切韻』は序文を除いて失われた。しかし『広韻』の音韻分類は『切韻』の体系を踏襲したものである。
後世,中国語の音韻体系は大きく変化したが,作詩における韻律は,隋初に作られた『切韻』が規範でありつづけた。
我が国でも,いわゆる「漢詩」を作るには,この音韻体系もとづく規則に従って文字を配列するのが基本である。
→参考:『広韻』

この記事について

辛附善先生が2008年10月28日 14:35に書きました。

前の記事:『論語』の「君子」

次の記事:『広韻』(『大宋重修広韻』)

最近の記事→メインページ

過去の記事→アーカイブ

Powered by Movable Type 4.01