『広韻』(『大宋重修広韻』)

『切韻』の体系にもとづく韻書で,現存する

601年に陸法言が撰した『切韻』は韻書の規範として重視され,唐代以後,何度も増補された。
北宋期に完成した『広韻』(『大宋重修広韻』)がその集大成である(1008年刊行)。韻の体系は基本的に『切韻』と同じである。(→参考:『切韻』
漢字を四声(平・上・去・入)に大分類している(計206韻)。

【上平声】28韻
東冬鍾江支脂之微魚虞模齊佳皆灰咍眞諄臻文欣元魂痕寒桓刪山
【下平声】29韻
先仙蕭宵肴豪歌戈麻陽唐庚耕清青蒸登尤侯幽侵覃談鹽添咸銜嚴凡
【上声】55韻
董腫講紙旨止尾語麌姥薺蟹駭賄海軫準吻隱阮混很旱緩潸産銑獮篠小巧晧哿果馬養蕩梗耿靜㢠拯等有厚黝寢感敢琰忝儼豏檻范
【去声】60韻
送宋用絳寘至志未御遇暮霽祭泰卦怪夬隊代廢震稕問焮願慁恨翰換諫襉霰線嘯笑效號箇過禡漾宕映諍頸徑證嶝宥候幼沁勘闞豔㮇釅陷鑑梵
【入声】34韻
屋沃燭覺質術櫛物迄月没曷末黠鎋屑薛藥鐸陌麥昔錫職徳緝合盍葉帖洽狎業乏

「上平声」「下平声」は,平声に属する字数が多いので分割しただけである。音韻上の区分ではない。

作詩では,この分類に従って押韻することが求められる。ただし206の分類は詳細すぎるため,複数の韻の「通用」が許容された。
「通用」を反映した韻書が作られ,最終的には106韻の「平水韻」が定着した。
平水韻

この記事について

辛附善先生が2008年10月28日 16:56に書きました。

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